バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は本日、信用リスクに係る標準的手法の見直しに関する「第二次市中協議文書」を公表しています。
Revisions to the Standardised Approach for credit risk – second consultative document
リンク先のプレス・リリース(英語)を、当社の文責において翻訳しておきます。
今回、当委員会が公表した信用リスクに係る標準的手法の第二次市中協議文書の位置付けは、銀行自己資本比率規制の簡素さとリスク感応度の均衡を図り、あわせて銀行や法域におけるリスク・アセットの計算の多様さを低減させるための広範囲な見直しの一環である。
今回の一連の提案は、昨年12月に当委員会が公表した当初提案と比べると、いくつかの点で異なっている。昨年の案では、外部信用格付の利用を一切排除するアプローチを提案しており、代替的なリスク要因も限られていた。その第一次市中協議文書に対しては、「格付の参照を一切排除することは不要であり、望ましくない」といった複数の意見が寄せられていた。このため、当委員会は、銀行向けエクスポージャーや事業法人向けエクスポージャーに対して、非機械的となるように配慮しつつ、格付の利用を再び導入することを決定した。今回の見直し後の提案は、規制上の自己資本比率算定において外部格付の利用を認めていない法域に対する代替的な測定方法も含んでいる。
不動産向け貸出に係るリスク・ウェイトについても、主なリスク要因を「時価債務比率」(※訳注:LTV、債務と不動産の時価の比率のこと)としつつも、修正を行った。「債務収入カバレッジ比率」(※訳注:DSCR、債務者の毎年のキャッシュ・フローに対する債務の比率のこと)については、その定義が難しいことと、全ての法域にわたって一貫性のある基準として国際的に調整することが難しいことから、当委員会はDSCRについては利用しないことにした。その代わり、基幹となる債務引受基準として、債務者の支払い能力を評価することを求める提案を行っている。また、同一のアセット・クラスの特定金銭債権(SL)を含めた不動産関連の全てのエクスポージャーを分類し、債務弁済がその不動産から生み出されるキャッシュ・フローに依存している度合いが高い融資にはより高いリスク・ウェイトを適用することも提案している。
今回の市中協議文書には、多国籍開発銀行向けエクスポージャーやリテール・エクスポージャー、デフォルト・エクスポージャー、さらにオフバランスシート・エクスポージャーについても含まれている。信用リスクに係る標準的手法における中央政府向け、中央銀行向け、公的セクター向けのエクスポージャーについては、今回の見直しの対象外である。当委員会はこれらのエクスポージャーについても、より広範囲で全体的な見直しの対象とすることを検討中である。
当委員会はこの市中協議文書に関連して寄せられるコメントを歓迎する。コメントは2016年3月11日(金)までに当委員会にアップロードされたい。なお、匿名にしてほしいという特段の要望がない限り、すべてのコメントは国際決済銀行(BIS)のウェブサイトにて公表される。