昨日付(日本時間で昨日夜)でFTオンラインに興味深い記事が掲載されています。
■Why are swap rates below bond yields?
―――英国時間2015/11/10(火) 11:25付 (日本時間2015/11/10(火) 19:25付)FTオンラインより(http://on.ft.com/1WKvwlv)
リンク先の記事によれば、
●米国の10年スワップ金利と10年米国債利回りの逆転が広まっている
とするものです。
教科書的には、「スワップ金利と国債利回りの格差は民間金融機関の信用スプレッドを示す」と言われていますが、米国の場合、先週、「スワップと国債の利回り格差」(TEDスプレッド)が一時、マイナス18bpにまで拡大したそうです(※bpとは「ベーシス・ポイント」の略で、1ベーシス・ポイント=0.01%)。FTはある銀行のアナリストによる「金融機関に対する資本規制の強化がもたらした市場の歪みである」とするコメントを引用。また、市場の歪みには、企業による社債発行の増大に伴うスワップによるヘッジ需要(この場合は固定金利を支払うスワップ)が発生している可能性にも言及しています。
ところで、こうしたスワップ市場と国債市場の歪みは、日本でも見られる現象です。正直、その原因はよくわかりませんが、何らかの事情で国債利回りとスワップ金利の逆転が生じるときには、規制上の歪み等が存在している可能性があると言えます。当然、一時期日本でも「大流行」した「日本国債アセット・スワップ投資戦略」を、米ドルの世界で「米国債アセット・スワップ戦略」として取り組む動きが出ても不思議ではありません。米ドルを持っている投資家であれば、「米ドルの金利リスクをなくす」目的で、
●新発米国債10年債
●同じ年限の10年スワップ(固定金利支払/変動金利受取)
というポジションを組めば、「米国の短期金利+アルファ」という「無リスク・ポジション」が構築可能です。「市場の歪みが一時的でいずれ解消する」と思うのであれば、こうしたポジションの構築も興味深いかもしれません。