当社では、2000年3月31日から四半期ごとに、財務省の国債金利情報を基に「金利変動の99パーセンタイル値」「金利変動の1パーセンタイル値」を試算したデータを作成しております。ただし、リンク先をご参照になる場合、「メモ」欄に明記した留意点を踏まえたうえで、ご利用に当たっては自己責任にてご対応下さい。
●国債金利情報を基にしたパーセンタイル値の推移表(エクセル)

「アウトライヤー」という単語は、金融業界の方以外の方にはなじみがない概念かもしれません。「アウトライヤー」を辞書で調べると、「外れ値」などの訳語が出てきます。「銀行法第14条の2」の規定によれば、「内閣総理大臣(※実際には金融庁長官)は、銀行の業務の健全な運営に資するため、銀行がその経営の健全性を判断するための基準として次に掲げる基準その他の基準を定めることができる。」と記載されています。これがいわゆる「自己資本比率規制」(またはバーゼル規制)と呼ばれるものです。世界的に適用されている「バーゼルⅢ/バーゼルⅡ」と呼ばれる規制は、信用リスクアセット等に対する自己資本比率に加えて銀行が市場リスクを取りすぎることに対する規制を導入していますが、現在、その見直しが検討されているところです。

銀行は一般の人々から流動性預金(期間の短い預金)を大量に集めて(受信)、その資金でお金を貸したり(与信)、有価証券を購入したり(運用)しています。その銀行が不健全な先にお金を貸して、貸し倒れたりしたら、預金者の預金が還って来なくなる可能性もあります。そんな事態が発生したら、国全体の銀行システムの信認が揺らぐかもしれません。このような事態を防ぐことが自己資本比率規制の目的なのですが、リーマン・ショック後に特に欧州で金融危機が深刻化。「バーゼルⅡ」では金融危機を防ぐことができなかったとの反省から、現在の「バーゼルⅢ」ではマーケット・リスク規制の強化が検討されている最中にあります。

さて、アウトライヤーについては、直接の不良債権比率に関する指標ではありません。これはあくまで「金利リスク」に対する規制上の取り決めです。金利リスクとは、世の中の金利が変動するリスクです。たとえば、市中金利が上昇すれば、固定利付債券の価値は下落します。わかり易い例でいうと、普通預金で100億円を調達した銀行が100億円の10年国債を購入したとします。仮に購入した10年国債のクーポン(※)が1.02%、預金金利が0.02%だったと仮定すると、この銀行は毎年1億円ずつ儲かることになります(国債100億円×1.02%-普通預金100億円×0.02%=1億円)(※なお、議論を簡単にするため、ここではクーポンと利回りは一致しているものとします)。しかし、世の中の金利が2%上昇したとすると、普通預金の調達コストは2.02%に上昇しますが、昔買った国債の金利は固定金利であり、1.02%のままで変わりません。従って、この銀行は毎年1億円ずつ損をすることになってしまいます(国債100億円×1.02%-普通預金100億円×2.02%=△1億円)。これが金利リスクの例です。

※余談ですが、財務省が公表するデータでは、ついに昨日、10年債利回りがマイナスとなってしまいました。国債の供給量も限られている中で、日本銀行のマネタリーベース拡大にも限界があります。現在の金融市場は、「有効な資金需要が存在しない中で、適切な財政政策を欠いたままで金融緩和を行えばどうなるか」という典型的な事例といえるかもしれません。

さて、金融庁ウェブサイト「主要行等向けの総合的な監督指針」P106などによると、「アウトライヤー基準」とは、「銀行勘定の金利リスク量」を、
(1)上下200ベーシス・ポイントの平行移動による金利ショック
(2)保有期間1年、最低5年の観測期間で計測される金利変動の1パーセンタイル値と99パーセンタイル値による金利ショック
のいずれかの手法によって計算される損失額が、銀行の自己資本(国際統一基準行の場合はTierⅠとTierⅡの合計額、国内基準行の場合は自己資本の額)の20%を超える銀行であるといわれています。ただ、「上下200ベーシス・ポイント」とは「金利が2%も上昇したり、低下したりする」ということですから、これはマイナス金利が常態化した現在の日本では、やや不自然でもあります。そこで、一般的に利用されているのが「パーセンタイル値による金利ショック」です。

「保有1年、観測5年」とは、1年間債券を保有していたときの金利の上下というデータを、連続して過去5年分取得するということです。従って、データの数は1年分+5年分+1日分=6年1日分、ということになります。日本の場合、土日は銀行の休日であり、さらに祝日も存在しますので、1年間はほぼ240営業日、と考えることができます。そこで、「保有1年、観測5年」を「保有240営業日、観測1200営業日」と読み替えると、年限毎に過去の金利データが1440個あれば良い、ということになります(1200日+240日=1440日)。この1440個のデータを使えば、金利の差分が1200個出来上がります。1200個分のデータを上下に並べ替えたときの、上から12番目のデータが「99パーセンタイルショック幅」です。

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