バーゼル銀行監督委員会(Basel Committee on Banking Supervision, BCBS)は欧州時間2015年11月9日、「TLAC」(Total Loss Absorbing Capacity, 損失吸収力)に関する「QIS」(Quantitative Impact Study, 量的影響度調査)の結果を公表しています。
調査結果自体は次のリンクです。
Reports related to Total Loss Absorbing Capacity (TLAC) published by the Basel Committee
また、BCBSはこの結果を受けて、G20/金融安定化理事会(Financial Stability Board, FSB)にレポートを送付しています。
Assessing the economic costs and benefits of TLAC implementation
TLACとは、いわば、「大きすぎて潰せない」(Too-Big-To-Fail)銀行(いわゆるG-SIBs)が経営破綻の危機に瀕した際(あるいは経営破綻した際)に、預金者を保護するとともに納税者(タックスペイヤー)が銀行救済資金を負担しなくて済むように、あらかじめ資本(CET1、AT1、T2)だけでなく特殊な負債(いわゆるTLAC債)を発行することを義務付ける規制案です。今回のレポートでは、ケースにもよりますが、新興国のG-SIBsを除く26のG-SIBsについて、合計して最大で1.4兆ユーロ(約185兆円)もの資本不足になるとの試算が公表されています。
日本の場合は銀行セクターの預貸率も低く、銀行が経営の健全性を保っているにも関わらず、国際的な金融規制の強化という流れに引きずられるのも迷惑な話です。いずれにせよ、今年のG20の議論は、グローバルな経済減速と並び、TLACの取扱いにも焦点が当たることになりそうです。